2025年7月7日月曜日

日本人の価値判断について 伊藤貫氏


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日本人の価値判断について 伊藤貫氏


日本の評論家、国際政治アナリスト、米国金融アナリスト、政治思想家 伊藤貫氏がYouTubeで、「日本人の価値判断」を論じていました。

書き起こして掲載します。


個人的にも、明治維新の功罪について、何か引っかかるものがありました。

奈良時代から江戸時代までの日本人の思考力と価値判断が、

明治維新から失われてきたという見解は、その通りだと思います。

戦争に突入してしまった原因も、欧米諸国の経済技術と軍事技術導入を優先し、

大事な日本の価値判断能力による、思考を失ってしまったことによるものだと感じます。





徳川最後の将軍 慶喜




日本人の価値判断について 伊藤貫氏


日本人の価値判断っていうのは、奈良時代から江戸時代まで、仏教と漢学(中国の古典、特に高愛、孟子、韓非子、荀子、孫子)を学ぶことによって考えが深くなったと思う。

しかし、明治維新から失敗してきた。


明治維新で、薩摩と長州は、国学思想、水戸学を用いた。その国学思想、水戸学は、仏教と中国の古典、漢籍、漢学に関して非常に侮蔑的である。

仏教はいらない、廃仏毀釈だという考えである。それらはインドから借りてきた思想だからいらないという考えだった。


漢学は漢心(からごころ)だ、我々は大和心を大切にしていればいいという考え。
せっかく日本人というのは仏教と漢学と日本的な価値観(武士道、天皇制、万葉集)の3つをコンビネーションにして日本人の思考力を深めていったのに、明治維新というのはこの二つを棄て、欧米諸国の真似をすればいいと言い、欧米諸国の経済技術と軍事技術を猿真似することばかりをやり始めた。


それで日本人の倫理規範は何ですか?ていうと、侍だと、サムライ精神だと、あと天皇陛下万歳とか、それだけになって日本人の形而上的な思想能力がどんどん浅くなってきた。


それで、それをやってアメリカとの戦争に負けたでしょう。
そうすると今度はアメリカニズムで、何でもいいからアメリカの真似をすればいいんだと。
しかし、アメリカって国は困ったことに、ヨーロッパよりもはるかに哲学的じゃないです。


アメリカ人は哲学が嫌い。アメリカ人は、「プラグマティズム」と「マテリアリズム」の国だから、物資主義とか、拝金主義、お金と物質が欲しいと。


そうすると過去80年間は、アメリカのプラグマティズムと拝金主義、マテリアリズムを表面的に、これまた一生懸命、猿真似すればいいと、そういう事をやってきた。


だから、明治維新で日本人の思考力と、深い思考力というのを半分くらい壊して、それでアメリカとの戦争に負けて、今度はアメリカの安っぽい、すごく表面的なマテリアリズムと、それからプラグマティズムを猿真似して、とにかく役にたつことをやればいいんだと。で、結果を出せ!結果を出せ!と。結果の問題なんだと。


こういう非常に単純な価値判断能力しか持てなくなった。


それで、そういう非常に浅い価値判断能力しか持たなくなったので、日本が今のような窮状に追い詰められている。


どうしようもないほど厳しい地政学的な環境に追い詰められてきたんですけれど、それでも自分たちは、どうしたらいいのか、今の日本にはどういう軍事能力が必要なのかと、そういう事を自分たちで議論できなくなってしまった。


そうすると、とにかく、日本人のものを考える能力が、ワシントンから見ていると、完全に麻痺しているようにしか見えない。


ウクライナ戦争をやったのは日本の国益にとって明らかにマイナスです。
ウクライナ戦争は日本にとってマイナスだったと、保守派の新聞が書けない。
ウクライナ戦争頑張れ、ばかり。何でこんなバカな戦争をやったんだと言うべきです。


だから、日本政府としては、アメリカ政府に一刻も早くウクライナ戦争をやめてくれと、言うべきなんですけど、日本の外務省はそういう風には言っていない。





日本の評論家、国際政治アナリスト、米国金融アナリスト、政治思想家 伊藤貫氏


伊藤 貫(いとう かん、1953年〈昭和28年〉- )は、日本の評論家、国際政治アナリスト、米国金融アナリスト、政治思想家。アメリカ・ワシントンD.C.在住。東京大学経済学部卒業。アメリカのコーネル大学で国際政治学と外交史を学ぶ。姉は政治家の山谷えり子。東京都出身。ワシントンD.C.のビジネス・コンサルティング会社とロビイスト事務所で国際政治・米国金融アナリストとして勤務。『フォーリン・ポリシー』『シカゴ・トリビューン』『ロサンゼルス・タイムズ』『正論』『Voice』『週刊東洋経済』等に、外交評論と金融分析を執筆。CNN、CBS、BBC等の政治番組で、外交・国際関係・金融問題を解説。ワシントンに30年間在住。著書に『自滅するアメリカ帝国』(文春新書)、『中国の核戦力に日本は屈服する』(小学館101新書)などがある。










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