気になっていた本
気候変動問題のホントとウソ 杉山大志著
を、Geminiで要約をしてみました。
色んな文献を見るに、私は
「気候危機」や「脱炭素」といった言説は「ウソである派」ですが、
この本は具体的な問題点をきちんと上げていて、非常に勉強になった本でした。
政府も相変わらず「脱炭素」一本やりですが、もっと勉強して早く気が付いて欲しいところです。
しかし今の陣容では、難しいですね。
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| 気候変動問題のホントとウソ 杉山大志著 |
「気候変動問題のホントとウソ」杉山大志著
■目次
第1部 気象観測データ
この部では、気候変動に関する一般的な見解に、気象観測データを用いて反論しています。
- 台風は激甚化していない
- スーパー台風は来なくなった
- 熱波・豪雨は温暖化と関係ない
- 「平均気温」は意味がない
- 気温予測は計算する人によって大きく異なる
第2部 環境観測データと社会統計データ
この部では、気象以外の環境データや社会統計を用いて、気候変動の影響に関する言説の真偽を検証しています。
- ホッキョクグマは絶滅どころか増えている
- 海面上昇はわずかでゆっくりだった
- サンゴ礁の島々は沈もうとしていない
- 山火事や飢餓は温暖化が原因ではない
第3部 数値モデルによるシミュレーション
この部では、気候変動の将来予測に使われる数値モデルの信頼性について論じています。
- CO2排出の予測シナリオは信頼に足らない
- 被害予測は恣意的である
- 温暖化対策は経済を犠牲にする
結論
- 日本はどうすればよいのか
本書は、これらのデータと考察を通じて、気候変動への過度な危機感は誇張されているとし、感情ではなくデータに基づいた冷静な議論と、国益を優先した政策を提言しています。
☆
「気候変動問題のホントとウソ」杉山大志著 要約
「第1部 気象観測データ」
■「台風は激甚化していない」
- データに基づく反論: 著者は、日本の気象庁の長期的な観測データに基づき、台風の発生数や上陸数は増加しておらず、むしろ減少傾向にあると指摘しています。また、最大風速が90ノット(秒速約46メートル)以上の「強力な台風」の上陸数も、1951年以降ではむしろ減少していると論じています。
- 「スーパー台風」の定義: 著書では、米国が「スーパー台風」と呼んでいるカテゴリー5の台風についても言及し、日本の周辺では1970年代以降、このクラスの台風の発生が見られなくなったとしています。
- 激甚化報道への疑問: マスメディアで報道される「台風の激甚化」は、近年の大雨や風害による被害が目立つことによる印象操作であり、過去の観測データと照らし合わせると、必ずしも台風そのものが激しくなっているわけではない、という見方を提示しています。
- 自然変動の可能性: 台風の動向は、地球温暖化だけでなく、数十年単位の自然変動(例:太平洋十年規模振動)によっても大きく左右される可能性があると述べています。
この章は、感情的な議論になりがちな気候変動問題に対し、客観的なデータを用いて冷静に分析することを促す内容となっています。
「第1部 気象観測データ」
■「スーパー台風は来なくなった」
- 観測データの提示: 過去の気象データを見ると、日本周辺ではスーパー台風の発生数や上陸数はむしろ減少傾向にあると指摘しています。
- 「温暖化でスーパー台風が増加」はフェイク: 著者は、地球温暖化によってスーパー台風が頻繁に来るようになったという主張は、データに基づかない「フェイク」であると述べています。
- 自然変動の重要性: スーパー台風が来なくなった明確な原因は不明だが、おそらく何らかの自然変動によるものであり、地球温暖化の影響だけではないと論じています。
- 防災意識への警鐘: 長い間強力な台風が日本に来ていないため、防災への意識が緩んでいる可能性があると警鐘を鳴らしています。地球温暖化の有無にかかわらず、将来的に再び強力な台風が来る可能性は否定できないため、油断してはならないと結論付けています。
この章は、感情的な議論を排し、客観的なデータに基づいて気候変動問題を捉えることの重要性を強調する内容です。
「第1部 気象観測データ」
■「熱波・豪雨は温暖化と関係ない」
- 自然変動の影響: 著者は、日々の気象や年ごとの気温の変動は、気圧配置やジェット気流、梅雨前線といった自然の要因によって引き起こされると述べています。これらの自然変動による気温の上下は、地球温暖化による緩やかな気温上昇と比べると桁違いに大きいと主張しています。
- 豪雨と温暖化の関係: 豪雨については、温暖化が理論的に降水量をわずかに増加させる可能性はあっても、その影響はごくわずかであるとしています。過去の観測データを見ても、豪雨が温暖化の影響で増えているとは言えず、温暖化と豪雨の明確な関係は確認されていないと論じています。
- 報道と事実の乖離: 著者は、メディアや一部の専門家が「猛暑も豪雨も地球温暖化のせい」と強調することで、人々の間に誤った認識が広まっていると指摘しています。実際には、観測データが示す事実と、報道される内容との間には大きな乖離があるとしています。
この章は、感情的な議論になりがちな気候変動問題に対し、客観的な観測データを用いて冷静に分析し、異常気象の主たる原因は自然変動にあるという見解を提示する内容となっています。
「第1部 気象観測データ」
■「平均気温」は意味がない」
- 都市化の影響: 著者は、観測地点の周辺環境の変化、特に**都市化(ヒートアイランド現象)**が気温上昇の大きな要因であると指摘しています。例えば、東京の気温上昇の約3分の2は都市化によるものであり、地球温暖化だけが原因ではないと主張しています。
- 自然変動の影響: 年ごとの気温は、気圧配置やジェット気流といった自然変動によって大きく上下します。この変動幅は、地球温暖化による長期的な気温上昇と比べると桁違いに大きく、この変動が人々に「猛暑」として体感される主な要因であると述べています。
- 「ひだまり効果」: 観測地点の周囲に建物や木々が増えることで、風通しが悪くなり、気温が上昇する「ひだまり効果」についても言及しています。これにより、観測される「平均気温」は実際のバックグラウンドの気温上昇よりも高く計算される可能性があると示唆しています。
著者は、気象庁が発表する平均気温の上昇データには、都市化などの影響が含まれているため、純粋な地球温暖化の指標としては不正確であると主張しています。純粋な地球温暖化は、過去100年間で約0.77℃程度であり、これは体感できるほどの温度差ではないため、人々が感じる異常な暑さのほとんどは、地球温暖化以外の要因によるものであると結論付けています。
「第1部 気象観測データ」
■「気温予測は計算する人によって大きく異なる」
- 予測モデルの信頼性の低さ: 著者は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが用いる気候モデルについて、その予測の精度が低いと主張しています。モデルは多くの前提条件や仮定に基づいており、その設定の仕方によって、将来の気温予測が大きく変動する可能性があると述べています。
- 「チューニング」の問題: 気候モデルには、過去の気候を再現するために様々な調整(いわゆる「チューニング」)が加えられています。著者は、この調整が、予測結果を都合の良いように操作する「いい加減なもの」ではないとしながらも、その調整の仕方によって、モデルの予測が大きく左右されることを示唆しています。
- モデル間の大きなばらつき: IPCCも認めているように、気候モデルの予測結果は、モデルによってばらつきがあります。これは、モデルが考慮している物理プロセスや複雑さ、詳細の程度が異なるためです。著者は、このばらつきの大きさを根拠に、「不吉なシミュレーション予測は信頼に足らない」と結論付けています。
- 未来予測の困難さ: 気候モデルは、将来の社会経済シナリオ(CO2排出量など)を仮定して計算を行うため、予測自体に不確実性が含まれます。著者は、これらの不確実な仮定に基づく予測が、あたかも確定した事実のように報じられることに疑問を呈しています。
この章は、気候変動の予測モデルはまだ発展途上であり、その結果を絶対的なものとして受け止めるべきではないという警告を発する内容です。
「第2部 環境観測データと社会統計データ」
■「ホッキョクグマは絶滅どころか増えている」
- 個体数の増加: 著者は、ホッキョクグマの個体数は、1970年代に絶滅の危機にあるとされていた時期と比較して、現在はむしろ増加していると主張しています。かつて1万頭まで減少したホッキョクグマの頭数は、現在では4万頭まで増えているという推計データも紹介しています。これは、人間による乱獲が減り、保護政策が功を奏した結果であるとしています。
- 海氷減少とホッキョクグマ: 温暖化による海氷の減少がホッキョクグマの生存を脅かすという説に対して、著者は異を唱えています。ホッキョクグマの主な捕食活動は、海氷が豊富な3月から6月に集中しており、海氷が大きく減少する夏から秋にかけては、もともと獲物をあまり捕らない時期であると述べています。そのため、海氷の減少が直接的に個体数の減少につながっているわけではないという見解を提示しています。
- 生物の適応力: ホッキョクグマは環境の変化に高い適応力を持っており、一部の地域では、海氷が減った環境でも、トナカイなどを食べることで生存している事例も紹介しています。
この章は、ホッキョクグマが地球温暖化の象徴として使われることが多い現状に対して、感情的な訴えではなく、科学的なデータに基づいて個体数が安定していることを示すことで、「気候危機説」を相対化する内容となっています。
「第2部 環境観測データと社会統計データ」
■「海面上昇はわずかでゆっくりだった」
- 過去のデータ: 著者は、過去100年間で世界平均海面水位の上昇はわずか約20センチメートルであったと指摘しています。この上昇は、メディアで報道されるような急激なものではなく、非常にゆっくりと進んできたと主張しています。
- 予測との乖離: 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などの予測モデルは、将来の海面上昇を大幅に過大に見積もっていると論じています。一部のモデルは、過去の海面水位のトレンドとはかけ離れた急激な上昇を予測しているが、これは現実の観測データと一致しないと述べています。
- 陸地面積の増加: 著書では、海面上昇にもかかわらず、世界の陸地面積はむしろ拡大しているというデータにも言及しています。これは、河川から運ばれる土砂の堆積やサンゴ礁の成長など、自然のプロセスが海面上昇を相殺しているためであるとしています。
- メディア報道への疑問: 著者は、太平洋の島国が水没する、といった危機を煽るような報道は、必ずしも科学的根拠に基づいているわけではないと指摘し、海面上昇に関するデータが誇張されている可能性を示唆しています。
この章は、海面上昇に関する「危機」は誇張されており、実際のデータは安定した上昇傾向を示しているに過ぎないという見解を提示しています。
「第2部 環境観測データと社会統計データ」
■「サンゴ礁の島々は沈もうとしていない」
- サンゴ礁の成長と堆積: サンゴ礁の島々は、硬い岩ではなく、サンゴや微小生物の死骸が堆積してできたものです。著者は、健康なサンゴ礁は海面上昇に合わせて成長し、そこに砂が堆積することで、島の標高を保ち、場合によっては面積を拡大させると主張しています。
- 島の面積の安定・拡大: 太平洋やインド洋のサンゴ礁の島々を調査した結果、約80%の島が過去数十年にわたり、面積が安定しているか、あるいは拡大しているという研究データが示されています。これは、温暖化によって島が沈むという説と矛盾する事実であると指摘しています。
- 「地形の動力学」: サンゴ礁の島は、海面上昇や高潮に対して受動的に沈むのではなく、海流や波によって砂が移動し、島の形が変化する「地形の動力学」的な適応力を持っていると述べています。これにより、海面上昇に追いつくように標高を上げることができるとしています。
- 政治的な背景: 著者は、「島が沈む」という言説には、環境保護団体や一部の政治家が気候変動対策の緊急性を訴えるための「物語」として利用している側面があると示唆しています。
この章は、サンゴ礁の島々は、海面上昇の脅威にさらされている脆弱な存在ではなく、自然の力によって環境に適応し、維持されている動的な生態系であるという見解を提示しています。
「第2部 環境観測データと社会統計データ」
■「山火事や飢餓は温暖化が原因ではない」
山火事について
- 根本原因は森林管理の失敗: 著者は、近年多発する大規模な山火事の主な原因は、地球温暖化ではなく、不適切な森林管理にあると主張しています。具体的には、長年にわたり山火事を抑制し続けた結果、山に枯れ木や下草などの「燃料」が過剰に蓄積されたことが挙げられています。
- 乾燥はきっかけにすぎない: 乾燥や熱波は山火事の「きっかけ」にはなりえますが、根本的な要因ではないと述べています。乾燥や熱波は、地球温暖化がなくても起きる自然現象であり、温暖化との直接的な因果関係ははっきりしないとしています。
- 人為的な要因: また、人間の居住区域が山に拡大したことや、不始末による火元が増えたことも山火事の原因としています。
飢餓について
- 飢餓は減少傾向: 著者は、世界の飢餓人口は、過去数十年間にわたり、経済成長と技術進歩によって激減してきたと主張しています。たとえ気候変動による変化があったとしても、その影響は技術進歩による食料生産性の向上によって相殺されていると述べています。
- 飢餓の真の原因: 飢餓の主な原因は、紛争、政治的混乱、不適切な統治、貧困といった社会・経済的な要因であるとしています。気候変動を飢餓の唯一または主要な原因とすることは、本質的な問題解決を遠ざけることにつながると警鐘を鳴らしています。
「第3部 数値モデルによるシミュレーション」
■「CO2排出の予測シナリオは信頼に足らない」
- シナリオの非現実性: 著者は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が用いる排出量が多いシナリオ(例:RCP8.5)が、現実にはあり得ないほど過大な排出量を想定していると主張しています。このようなシナリオに基づく「不吉な予測」は、現実離れしていると述べています。
- 技術進歩の考慮不足: 過去のデータを見ると、経済成長とCO2排出量は必ずしも連動しておらず、技術の進歩によって排出効率が改善されてきました。しかし、IPCCのシナリオは、こうした技術革新を十分に考慮しておらず、過度な排出増加を前提としていると指摘しています。
- 「物語」としてのシナリオ: 著者は、これらのシナリオが、科学的データというよりは、特定の政治的主張(「気候危機」を煽り、対策の緊急性を訴える)を正当化するための「物語」として機能している可能性を示唆しています。
- 結論: 著者は、信頼性の低い排出シナリオに基づいた予測は、政策決定の根拠として用いるには不適切であると結論付けています。現実的な排出量であれば、地球温暖化による気温上昇は予測されているほど極端なものにはならないだろうという見解を提示しています
「第3部 数値モデルによるシミュレーション」
■「被害予測は恣意的である」
- 悲観的シナリオの採用: 著者は、IPCCや各研究機関が発表する被害予測が、**最も悲観的なCO2排出シナリオ(例:RCP8.5)**を前提として計算されている点を指摘しています。このシナリオは非現実的なほど高排出を想定しており、この前提から導かれる被害予測も当然ながら過大になると論じています。
- 被害額の算出方法: 経済的被害(GDPの損失など)を計算するモデルは、温暖化によって生じるであろう影響(農業生産の減少、自然災害の増加など)を金銭に換算して合算しています。しかし、この換算には多くの仮定が含まれており、たとえば「熱波による労働生産性の低下」をどれだけGDPに影響させるかといった計算は、恣意的な要素が入り込む余地が大きいと主張しています。
- 適応能力の過小評価: 被害予測モデルは、人間社会が温暖化に適応する能力を十分に考慮していないと述べています。たとえば、気温が上がればエアコンが普及し、猛暑による被害は軽減されますが、そうした適応策が被害をどれだけ軽減するかという要素が十分に反映されていないと指摘しています。
- 「ストーリーテリング」: 著者は、極端な被害予測は、人々や政策決定者に危機感を抱かせ、温暖化対策の必要性を強く訴えるための「ストーリーテリング」として機能している側面があると示唆しています。
この章は、気候変動による被害予測が、科学的データだけでなく、意図的な仮定やシナリオ選択によって大きく左右されることを示し、そうした予測を絶対的なものとして受け止めるべきではないと警鐘を鳴らしています。
「第3部 数値モデルによるシミュレーション」
■「温暖化対策は経済を犠牲にする」
- 膨大なコストと不確かな効果: 著者は、脱炭素社会の実現には、エネルギーシステムの大転換が必要であり、それに伴うコストは天文学的な額に上ると主張しています。しかし、その膨大な費用を投じて得られる温暖化抑制効果は、予測モデルの不確実性や温暖化の誇張された危険性を考慮すると、極めて不確かで小さなものであると述べています。
- 費用対効果の悪さ: 温暖化対策の「便益」(例:気温上昇の抑制)は、対策にかかる「費用」(例:炭素税や再生可能エネルギーへの投資)と比べて極めて小さいと論じています。つまり、費用対効果が非常に悪いため、経済的な観点から見れば、温暖化対策は合理的ではないという見解を提示しています。
- 経済成長の阻害: 温暖化対策、特に炭素税や排出量取引といった手法は、企業の活動や個人の生活に負担をかけることで、経済成長を阻害する可能性があると指摘しています。これにより、雇用が失われたり、物価が上昇したりするリスクがあると述べています。
- 貧困層への影響: 対策のコストは最終的に製品価格に転嫁されるため、貧しい人々ほどその負担を重く感じることになります。著者は、温暖化対策が、特に発展途上国の貧困層の生活をさらに困難にする可能性があると警鐘を鳴らしています。
· この章は、温暖化対策が「環境保護」の名のもとに進められているが、その背後には巨額の経済的損失が伴うという視点を提示しています。著者は、不確実な温暖化予測に基づく過度な対策よりも、現実的な費用対効果を考慮した政策が重要であると結論付けています。
「結論」
■「日本はどうすればよいのか」
■主要な結論と提言
1. 脱炭素目標は経済成長を阻害する
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著者は、日本政府や世界の多くの国が掲げる**「2050年カーボンニュートラル」**といった野心的な脱炭素目標は、再生可能エネルギーの不安定性やコストの高さから、経済成長を犠牲にすると警告しています。
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再生可能エネルギーだけでは電力の安定供給は不可能であり、高コストな再エネの導入は電気料金を押し上げ、産業競争力を低下させると論じています。
2. CO2削減は地球全体の気温にほとんど影響しない
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日本のCO2排出量は世界全体の約3%に過ぎず、仮に日本が排出量をゼロにしても、地球全体の気温上昇を抑制する効果はごくわずかであると述べています。
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一方で、世界最大の排出国である中国やインドでは、経済成長のために石炭火力発電所が今後も増加する見込みであり、日本の努力だけでは地球温暖化は止まらないと指摘しています。
3. 「適応策」を重視すべき
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著者は、経済を犠牲にする「緩和策」(CO2排出削減)よりも、気候変動の影響に備える「適応策」に力を入れるべきだと主張しています。
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具体的には、豪雨や台風に備えるための堤防やインフラ整備、農作物の耐候性品種の開発など、具体的な被害を軽減するための対策を優先すべきだと提言しています。
4. 気候変動は「終わった」問題である
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杉山氏は、気候変動問題が**「国際政治の問題としては終わった」**と断言しています。
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温暖化対策を推進してきた欧米諸国も、ウクライナ危機によるエネルギー価格高騰を背景に、石炭火力発電所を再稼働させるなど、現実的な対応にシフトしていると指摘。
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政治やメディアの言説とは裏腹に、世界は脱炭素からエネルギー安全保障へと舵を切っており、日本もこの現実から目を背けるべきではないと結論付けています。
■全体の要旨
本書の結論は、気候変動問題に対する過剰な危機感から脱却し、感情論ではなく、国益と国民生活を優先した現実的な政策を推進することを強く訴えています。そして、地球温暖化は単一の対策で解決できる問題ではなく、多様な要因を考慮した柔軟な対応が必要であると締めくくっています。
■「日本はどうすればよいのか」要約
この章では、著書全体を通じて展開された「気候変動の脅威は誇張されている」「過度な対策は経済を犠牲にする」という主張を踏まえ、日本が取るべき具体的な政策提言をまとめています。
日本のエネルギー政策と国際戦略
著者は、感情的な議論に流されるのではなく、客観的な事実と費用対効果に基づいた冷静な対応を日本に求めています。
1. 脱炭素は緩やかに: 日本は、経済成長を犠牲にしてまで急進的な脱炭素政策を進めるべきではないと主張しています。温室効果ガスの排出削減は、経済活動を阻害しない範囲で、技術開発と両立させながら、ゆっくりと進めるべきであると提言しています。
2. 原子力発電の再稼働と新技術: 地球温暖化対策の観点からは、温室効果ガスを排出しない原子力発電を再稼働し、積極的に活用することが最も現実的かつ効果的な手段であると述べています。さらに、二酸化炭素を回収・貯留する**CCS(Carbon Capture and Storage)**などの新技術にも投資すべきであると強調しています。
3. 石炭火力発電の活用: 著者は、日本の石炭火力発電は世界最高水準の効率を誇っており、これを直ちに廃止するのではなく、二酸化炭素排出量を削減する技術(例えば、石炭と水素を混ぜる技術など)と組み合わせることで、引き続き活用していくべきであると主張しています。
4. 途上国への配慮: 日本は、自らの利益だけでなく、発展途上国が貧困から脱却できるよう支援する役割を担うべきであると論じています。発展途上国に脱炭素を急激に求めることは、彼らの経済成長を妨げ、貧困を固定化させる可能性があるため、現実的なエネルギー供給を最優先に考えるべきだと提言しています。
結論
この章は、日本が国際的な「気候危機」の風潮に過剰に反応するのではなく、自国の経済と国民生活を第一に考え、現実的な科学技術と経済原理に基づいた賢明なエネルギー政策を追求すべきであるというメッセージを強く打ち出しています。
| エネルギー・環境研究者 杉山大志氏 |
杉山 大志(すぎやま たいし、1969年- )は、日本のエネルギー・環境研究者。地球温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。地球温暖化による気候危機説については懐疑派である。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任教授。2004年より気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書等の執筆者。産業構造審議会産業技術環境分科会 地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ委員。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会工場等判断基準ワーキンググループ委員。2020年より産経新聞「正論」欄執筆陣。

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