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希望的観測を優先する日本人へ
直球&曲球 野口健
本当にその通りですね。
日本の政府、メディアは、どうにかしていますね。
しかし、日本人のこの「希望的観測を優先する」考えは、多分治らないでしょうね。
非常に勉強になりました。
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登山家、環境活動家 野口健氏 |
野口 健(のぐち けん、1973年8月21日 - )は、日本の登山家、環境活動家。亜細亜大学国際関係学部卒業。NPO法人PEAK+AID(ピーク・エイド)代表(2020年時点)として、ヒマラヤ・富士山での清掃活動といった環境保護への取り組み、また遭難死したシェルパ族の子どもたちへの教育支援「シェルパ基金」やヒマラヤでの学校建設・森林づくり、第二次世界大戦の戦没者の遺骨収集などの社会貢献活動を行っている。
希望的観測を優先する日本人へ
直球&曲球 野口健 能登半島地震
能登半島地震の直後から被災地に通い続けたためだろうか? 被災地から車を走らせ夜間に帰宅して玄関の鍵を開けようとしたそのとき、ふと周囲を見渡し、ゾッとさせられた。
きれいにライトアップされた住宅街が瓦礫(がれき)の山々に見えたのだ。
あたり一面が瓦礫に埋め尽くされた光景が脳裏に焼きつき、フラッシュバックしたのだ。
「明日はわが身」という恐怖を理屈抜きに骨の髄まで感じていた。
ウクライナで爆撃された街並みの様子をテレビで見ると能登の瓦礫と重なりゾッとする。災害も戦争も有事であり、同じく残酷なまでに破壊されてしまうのだ。
しかし、メディアの話題は「不記載」のことばかり。
かと思えば一日中、一地方の知事選に関する騒動がメディアをジャック。
それ自体を否定するわけではないが、この間にも刻々と国際情勢は不安定化している。
尖閣諸島周辺はさらにきな臭くなってきたし、ロシアや北朝鮮問題もしかり。
以前、石原慎太郎氏が「日本にテポドンが一発ぐらい落ちないとこの国は目が覚めないだろう」と例え話をされていたが、この国の本質をある一面で捉えていたのではないか、と思う。
災害の度に避難所運営一つとっても右往左往。
能登地震では災害関連死が多く報告されている。
救えるはずの命を救えなかったのだ。
医療体制や避難所の生活環境が深刻な被害をもたらしたのだろう。
能登一つでこのありさま。首都直下型地震や、ましてや他国による侵略戦争が勃発したら、この国は何日持ちこたえられるのだろうか。
それに比べて台湾は地震が発生した約3時間後には快適な避難所運営がスタート。
あまりの迅速さに驚いたが、中国による脅威に絶えずさらされ続けている台湾のことだ。有事に対する危機感はわれわれとは別次元。
それ故に有事に対する備えや訓練も雲泥の差だろう。
日本人は希望的観測を優先する傾向にあるが、現実はその通りにならない。
先の大戦が証明しているではないか。
日本のメディアにも言いたい。国民にもっとしっかりと伝えなければならないことが多々あるだろうにと。