2023年3月2日木曜日

理不尽な社会が根底に

 

私が気に入った、ザ・インタビュー記事  八水沼啓子氏  


理不尽な社会が根底に 作家・楊逸氏

『中国仰天事件簿・欲望止まず やがて哀しき人々』

今の中国の問題を指摘した、楊逸氏へのインタビューです。

また違った視点で中国の問題を考えさせられました。


作家 楊逸氏

「中国は人間が普通に生きていくのが難しい社会」と話す芥川賞作家の楊逸さん

楊 逸(ヤン イー、本名:劉 莜(りゅう・ちょう)、1964年6月18日 - )は、日本の小説家。中国ハルビン市出身。1987年、留学生として来日。1995年、お茶の水女子大文教育学部卒業。その後、在日中国人向けの新聞社を経て、中国語教師として働く。反日デモの影響で仕事が減り、小説を書き始める。2007年、『ワンちゃん』で文学界新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。2008年、『時が滲む朝』で第139回芥川賞受賞。中国籍(当時)の作家として、また日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての受賞となった。2012年ごろ、日本国籍を取得。2009年より関東学院大学客員教授、2012年より日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師、現在は、日大芸術学部教授。



理不尽な社会が根底に
作家 楊逸氏  インタビュー

日本人とは違う新鮮な視点で、社会性のある小説を書き続ける中国出身の芥川賞作家―。そのイメージが最近、変わりつつある。

2020年に『わが敵「習近平」』を刊行。翌年には、共著『中国の暴虐(ジェノサイド)や共著『言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』を相次ぎ出版し、真正面から習近平政権や中国共産党への批判を展開している。

今年で来日35年余。なぜ最近、中国批判を始めたのか。いや、逆になぜこれまで中国に批判の目を向けてこなかったのか。

「自分が育った中国はあまりにも病んでいて、中国人や中国社会について深く考えるのが嫌で避けてきた。
もう自分は中国を出て何年もたっているので、日本での普通の生活を楽しんでいればいい、と人ごとのように考えていた」

その考えが一変したのが、19年12月に中国武漢で発症者の存在が初めて公表された新型コロナウイルスだ。バンデミック(世界的流行)を計き起こした元凶は中国政府にあると怒りを覚えた。

幼少期のつらい記憶も蘇る。文化大革命下の1970年1月、ある日突然、暖かい家屋を奪われ、極寒の農村に送られた。いわゆる「下放」だ。中国共産党の理不尽さを身をもって経験していたことが、中日批判の急先鋒に向かわせた。「習近平政権のゼロコロナ政策が極めて理不尽で、無責任。そこには何か根源的な問題があるのではないかと思った。でも気づいたら中国を長い間離れていて、中国のことが全然わからなくなっていた」

そこで日本からアクセスして、中国のネットメデイアや地方紙の報道を調べ始めたという。「変な事件が次々と出てきて、しかも似たような事件がたくさん起きていてシヨックだった。事件をよく調べると、現行制度の問題点が垣間見られるようになった」

そして今年1月に刊行したのが、中国の地方都市で実際に起きた12の事件を取り上げた本作。2012年からコロナ前の19年までを対象に、世相を反映し、普遍性のある事件を選んだ。

本作では、事件の背景にある中国社会の問題点も解説している。収録されている愛人職に応募した女子大生が被害に遭った事件や母親の同級生だった建設王を実父と思い込んで起こした事件は、いずれも「一人っ子政策によって潜んでいた問題点があらわになった」と分析する。

本作の副題は「欲望止まずやがて哀しき人々」。日本人には、事件の当事者たちはみな道徳観や倫理観が欠如しているようにみえる。しかし「事件を起こした加害者にしろ、被害者にしろ、普通の中国人たちでみなそれぞれ深刻な事情があった。自分もそういう境遇にあったら、同じような事件を起こしていたかもしれない」と同情を寄せる。

中国社会の「権力至上」「拝金主義」は、横領や贈収賄をはびこらせる。「そこで暮らす人々には、欲の赴くままに詐欺や欺瞞の術を以って社会のどん底から這い上がろうとする欲望の動物になる以外、生きる『道』が残されていないのです」という本作の一節は胸に迫る。

「普通の中国人たちも、中国共産党の犠牲者たちだ。この本を通して、中国人が置かれた実態を知ってほしい」(八水沼啓子)


■中国もやはり「異端の国」ですね。








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