私が気に入った新聞コラム・本ナビ
『旅行鞄のガラクタ』伊集院静著
詩人・和合亮一『旅行鞄のガラクタ』
物に潜む歳月と記憶
私の好きな作家伊集院静氏の『旅行鞄のガラクタ』の紹介コラムです。
『旅行鞄のガラクタ』 伊集院静著 |
紹介者は詩人の和合亮一氏。
詩人ならではの感性の紹介ですね。
詩人 和合亮一氏 |
和合 亮一(わごう りょういち、1968年8月18日 - )は、日本の詩人、ラジオパーソナリティ、高校教員。福島県福島市出身。福島市生まれ、福島市在住。
物に潜む歳月と記憶 詩人・和合亮一
旅先で、例えば小石だったり、美しい瓶だったり、小さな置物だったり…、ふと持ち帰ってしまう癖がある。子供の頃から何かを拾ってきては自分だけの宝物としてしまっておくことを繰り返してきたが今も変わらない。
執筆の合間にそれらを取り出して手触りを確かめてみたりする。しばらくするとまた筆を握ろうとする自分に気づく。小さな力が宿っているに違いないと信じている。
伊集院静はこれまで様々(さまざま)な国内外の旅をしてきた。世界をめぐって出会った人々や、かけがえのない家族や友人とのエピソード、ギャンブルやお酒で失敗してしまった話などが、この一冊の中によく登場する。旅の達人の隣の席に座って、よもやま話にあれこれ耳を傾けている気分になる。
彼は土産などは買わない主義であるが、いつしか鞄(かばん)の中に収められるようなふとした物を、あたかもその土地の木に実っている美しい果実を貰(もら)い受けるかのようにして、しまいこんできた姿がある。
それを「ガラクタ」と称しているが、貝殻だったり、人形だったり、何かのカードだったり…。とても共感できてしまう。一つずつ深い記憶が眠っていて、作家の語り口により、しだいにそこに込められた歳月がはっきりと目覚めていくような印象がある。
例えば琵琶湖の近くで見つけたヒシの実がある。彼は小説を2冊まで出したが筆を折ることを考える。水底で必死に草木になろうとしている1個の種。何事かを教えられたと彼は直感する。「以降、三十数年戒めとして、いや教えとして、このガラクタは私の仕事場の隅でずっと草木になる夢を見て息を潜めている」。小さな物の一つ一つと彼の表情が写真と文章で手に取るように深く見えてくる。
やっと本を購入できて、まえがきを読み始めました。
いきなりイタリアフィレンツェのヴァッキオ宮殿が出てきて、良いですね。
私の想い出と重なる街です。
伊集院氏の感性がそのままでているような紀行文章です。
これからじっくりと本編読みます。いい本に出合えました。
0 件のコメント:
コメントを投稿