2024年2月22日木曜日

古代アメリカ文明・青山和夫編 教科書の歴史を覆す 書評・青木奈緒氏

 

『古代アメリカ文明』青山和夫編 

教科書の歴史を覆す 書評・青木奈緒(文筆家)



『古代アメリカ文明』




エッセイスト、作家、翻訳家 青木奈緒氏

青木 奈緒(あおき なお、1963年4月14日 - )は日本のエッセイスト、作家、翻訳家。随筆家青木玉の娘、幸田文の孫、幸田露伴の曾孫。東京都生まれ、学習院大学文学部ドイツ文学科卒業、同大学院修士課程修了、オーストリア政府奨学金を得てウィーンに留学。1989年より翻訳・通訳などの仕事をしながらドイツに滞在。 1998年に帰国して『ハリネズミの道』でエッセイストとしてデビューし、幸田家四代の文筆家として話題になりました。




『古代アメリカ文明』青山和夫編 
教科書の歴史を覆す 書評・青木奈緒(文筆家)


世界のあらゆる文明をさかのぼれば、「四大文明」に収束されると思ってきた。メソポタミア、エジプト、インダス、黄河。これらが大河のほとりで育まれた「文明のゆりかご」である、と。


ところがこの四大文明という文明史観は世界共通の学説ではなく、口調のいい教科書用語が長年ひとり歩きしただけなのだという。


もともといかなる文明もないところに独自に生まれた文明を「一次文明」と呼ぶのだが、この一次文明に数えられるのは世界に4つ。メソポタミアと中国、そして古代アメリカの2カ所。すなわちマヤやアステカ王国などに代表されるメソアメリカ文明と、ナスカやインカで知られるアンデス文明なのだそうだ。


これまで世界史の「常識」として疑うこともなかった四大文明が本書の序章、冒頭でいきなり覆される。1492年をコロンブスによるアメリカ大陸発見の年とするのも、なんとヨーロッパ偏重の見方だろう。それ以前のアメリカ大陸の歴史を「中南米の先住民文明」と片づけることは「さながら古代の日本列島、中国文明、アンコール・ワットに代表されるクメール文明を一括して語るような」ものだという指摘は実に痛烈だ。


本書はマヤ文明学を専門とする青山氏が3名の研究仲間とともに各々の専門分野について執筆し、メソアメリカ文明とアンデス文明を一般にも分かりやすく新書版で解説している。


人類史上最も洗練された石器による都市と文字文明を発達させたマヤ。かたや文字を持たなかったナスカの巨大な地上絵はどのように描かれ、どんな意味を持つのか。


古代アメリカ文明は驚きに満ちた未知の世界だ。それはとりもなおさず、私たちの頭が、かつて学んだ教科書記述のまま、いまだに四大文明とユーラシア大陸中心的な歴史観に縛られていることを意味する。古代アメリカ研究者たちの「現在は過去の総和である」という訴えをしかと受け止めたい。





考古学者 青山 和夫氏

青山 和夫(あおやま かずお、1962年11月7日[1] ‐ )は、日本の考古学者、茨城大学教授。京都市生まれ。1985年東北大学文学部考古学科卒、ピッツバーグ大学大学院修士、1996年博士課程修了。1997年茨城大学人文学部助教授、2006年教授。2008年日本学士院学術奨励賞受賞。1986年からホンジュラス・エントラーダ地域、コパン谷、グアテマラのアグアテカ遺跡とセイバル遺跡でマヤ文明の調査に従事。



古代アメリカ文明
非常に興味ある内容でした。










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